
ろばた 劉備
みてのまんまである、しかも劉備の「劉」の漢字が昔風の文字なのが粋に感じるところであろう。
当然ここは独立国家「蜀」そのものであるのは言うまでもあるまい。
中では耳たぶが肩まで垂れ下がり、手の異様に長いオーナーをはじめ、その両脇で顔の赤く やけに髯の長い大男と、上半身裸でトラ髯の男がセカセカと揚げ物を揚げたり、魚を3枚におろしているに違いがない。
それで済めばいいが 奥からは長身で変な帽子かぶって白い扇を持った男がバイトが押す四輪車に乗り現れて
「ご注文は何になさるのか?答えよ!」等と高飛車に注文を聞かれそうである。
かとおもえば、先ほどのトラ髯の大男が仕事中に酒を浴びるように飲みだし暴れに暴れてオーナーに叱られ泣き出しそうでもある。
挙句には店に入ったとたんに正面には「義」だの「仁」だのというノレンが山のように飾られているはずだ。
俺がこの店に行ったら絶対に「呉好き」だということがばれぬようにせねばなるまい。
冗談でも「潘璋いいよなぁ」とか「呂蒙もいいな」とか口にしようものなら 即効で鬼の形相に変貌する髯の男に撲殺されてしまいそうでならない。
当然ながら「陸遜」なんて言葉は「どうか俺の首を斬ってください」と言っているにも等しい単語である。
「三国志で好きなのは?」と聞かれて 「呉」という言葉は禁句である。
うかつに「呉」と言う言葉を出してしまったら 機転を利かせて「呉・・・懿」か「呉蘭」とか言ってその場を切り抜けるしかない。
人によってはこの場は 仲間を募る場所にもなるし、地獄よりもオトロシイところになるのである。
しかしこの看板を見る限りでは どうやら隣の場所は空白地らしいが勢力拡大の礎になるのかどうか気になるところでもある。
ゆくゆくは「れいんぼう」と「泡湯」を倒産に追い込み『アクティブCITY』平定を夢見ているのであろうか?
だがこんな「ろばた劉備」も雷が鳴ったとたんにオーナーが「はわわわ・・」と言って机の下に隠れ、速攻で本日緊急閉店ってな事になるのは日常茶飯事なのであろう。
だが、俺はまだこの店に一歩も踏み入れたことはない、今度誰か連れて行ってみようか。